長崎の平和こうえん<3>2009.2.2.盛岡タイムス

 08年10月初め、長崎の内田真嗣さんという方から電話があった。

「11月3日に穐吉敏子さん(ニューヨーク在住、ジャズピアニスト)を長崎にお迎えし、コンサートを主催する者です。穐吉さんからジョニー・テルイさんへ電話してみてください。もしかするとCDを売りにきてくれるかもしれませんから。ということをお聞きしてお電話しました」という。ぼくは店のスケジュール表を確認しながら、二つ返事で行くことに決めた。

 内田さんは大の穐吉ファンで30年間も穐吉さんの曲を演奏し続けてきたのだという。

トランペッターでもある彼がリーダーを務めるアート・クロウ・ジャズ・アンサンブルも、90年に結成して以来、アキヨシ・サウンドを追求してきた屈指のオーケストラであり、これまでに、NHKのコンテストに5回出場し、優勝2回、準優勝2回、3位1回という、すごーい成績を残しており、それらが穐吉さんに認められ、穐吉さん自ら指導とピアノを担当するというもの。もちろん全曲穐吉さんの作編曲によるオリジナル作品ばかりだ。

さて、そのコンサート、前日入りした穐吉さんと入念なリハーサルを経ての本番。

オープニングは定番「ロングイエロー・ロード」。日本人として人種差別の激しい国、アメリカに渡って歩んできた自分自身の長い道程を表した穐吉の初期の代表作に始まり、第一部5曲、第二部5曲「ロード・タイム・シャッフル」で終演の後、アンコールでは、06年長崎で行われた、国際平和シンポジウムで発表した「ナガサキ・シティ・オブ・ビジョン」。自分とは異なる者との対話、理解はできなくても相手を認めて付き合う、鎖国時代に日本で唯一外国と交わった長崎のオープンハートな歴史、長崎に昔からあったものに今期待してつくったという優しい曲と、同じ被爆地をテーマにした「ヒロシマ組曲」の終章「ホープ」を演奏。

じんわりとした感動の拍手が長く広がっていった。もちろんCDサイン会は長蛇の列でした。