マイク・ポネラのCD<55>2010.2.1.盛岡タイムス

 03年、30年の歴史に終止符を打った、ニューヨークの穐吉敏子ジャズ・オーケストラに、12年間在籍したジャズトランペッター・マイク・ポネラ(Mike Ponella)氏から、10年1月20日、一枚のCDが「開運橋のジョニー」に送られてきた。

 CDタイトルは「ジョージ・ワシントン橋・シャッフル」。マイクのリーダーアルバムで、しかも、オーケストラ編成。更にソリストとして6人のスペシャルゲストを迎えて録音したもので、10曲中7曲が彼の作曲。勿論、編曲はすべて彼が手掛けている。

 そのスペシャルゲストのクレジット名を見ると、トシコ・アキヨシと彼女の夫君・ルー・タバキンの名。二人は9曲目の「The Goober」というウェイン・アンドレが60年代半ばに書いたビックバンド曲に参加し、ソロもとっている。

 全10曲、通して聴いてみると、なんといっても9曲目の穐吉さんが参加した曲の演奏は、やはり、まるでしまり方が違って聴こえるのだ。ミュートを効かしたマイクのトランペットソロも抜群。どこから、どう聴いてもアキヨシ以外の何者でもないピアノソロ。そして同じく一聴して判るルーのソロ。お終いにミュートを外した、超高音のマイクのソロだってベストだ。

 おもしろいと思ったのは5曲目の「East View」というマイクの作った曲。日本のワルツスタイル(芸者ワルツ?日本舞踊?)の写真にヒントを得て、アフロ・キューバンのリズムで作ったというもの。これはかなり日本っぽい作品で、異色だ。こうした曲をマイクが作ったというのも、やはり穐吉敏子ジャズ・オーケストラで、長年、吹いた事による産物と言ってよいのだろうと思う。「おめでとうマイク!」

 CDに添えられたメモ用紙には「ハロー・ジョニーさん。僕の新しいオリジナル・ミュージックCDを楽しんで下さい。もしかすると、あなたのジャズクラブで純粋に演奏できるかもしれない!」とあった。