風邪熱とばすジャズの熱気<88>2010.10.4.盛岡タイムス

 ジャズ・ピアニスト・穐吉敏子さんの夫で、サックス&フルート奏者であるルー・タバキンさん率いる国際トリオが、9月14・15の両日、開運橋のジョニーで演奏会を開いてくれた。

 長い、そしてハードな日本ツアーの終盤ということもあってか、ドラマーのマーク・テイラーは、風邪をこじらせ、ゼンソクになり、かなりまいっていたことから、盛岡に着くやいな、即病院で点滴を打ってもらい、ホテルで横になって、夜8時の演奏開始時間には、少し元気になって現れたので一安心。

 演奏は、そんなことを感じさせない、素晴らしい内容で、皆満足だったのだが、体の大きさとは裏腹に繊細なマークは、自分の演奏がまずくなかったかと、しきりに僕にたずねるのだった。英語を話せない僕は、ダイジョーブ、ダイジョーブ!うんマークいったよ!と笑って返す。

 翌15日の午後には、サックスとフルートのクリニックを、ジョニーでやってくれるかも?とスタンバイさせていた受講者がいた。ルーさんは、心よくそれをOKしてくれて、ジャズクリニックが行われた。盛岡出身で上智大学のジャズ研究部の部長を務める、松岡奈々子さん(20)は、わざわざ東京から盛岡まで戻ってきて受講した一人。世界一流の奏法とジャズに対するアプローチの仕方などを伝授され感激し、フルートならぬ、体がフルェートった。

 その15日夜の演奏は、マークの体調が戻ったが、今度はルーさんが、少々風邪気味ということもあってか熱のこもった内容でした。そして、ルーさんは、トシコにいくら電話を入れても、FAXしても連絡がとれなくて心配だと言っていたけれど、そのトシコさんから、ジョニーへ「親愛なるルーちゃんへ渡してほしい」とFAXも入っていた。

 そのFAXの前半僕に宛てた日本語文では、中国公演(10月)で演奏する、中国民謡のオーケストレーションで頭をしぼっています。という内容でした。北京と上海での公演、今、日中間がギクシャクしてる最中なので、穐吉敏子ジャズオーケストラの中国公演の無事を祈るのみ。