「私より先輩の方が聴きに来て下さると、大変嬉しい。なかなかお目に掛かれなくなったから。」アメリカから、ジャズ・マスターの称号を贈られたピアニスト・穐吉敏子さんは言う。
彼女は現在79歳(09年12月12日に80歳を迎える)という、年齢からして、80を過ぎて、聴きに来る人は少ない。ということなのでしょうが、10月15・16日の開運橋のジョニーで行った「穐吉敏子・プライベート・ライブ」には、知る限り4人の先輩男性が顔を揃えた。
終演後のワイン談義で「年下の子ギャルに会いに来た。」そう言ったのは、吉見正信さん80歳。しかも子ギャルのコは古いと書くのだ、と言って皆を笑わせた。さすが文筆家。
歌人・小泉とし夫さん(岡澤敏男)さん81歳は、毎回聴きに来て、敏子の歌を詠む。さて今回はどんな短歌をつくられるのだろう、と心待ちの日々。
藍画で知られる、屋根のないアトリエ作家こと、菊池如水(武男)さんは、94年、陸前高田のジョニーに、穐吉さんのライブを聴きに来た日の夕刻、高田市内で、夕日の光をメーンにした風景を描き、絵をプレゼントしてくれたので店に飾っていたが、昨年新しい絵を描いて頂いた。題名は「開運橋の音女(乙女)」?。これは、昨08年、紫波のあらえびす記念館で行われた、彼女のコンサートを聴いた時、無性にその場で描きたくなった気持ちを押さえて、後日、ジョニーで音楽を聴きながら描いた想像画だ。彼は少年のころ、自ら望んだ満州(現中国)へ渡った人だけに、満州生まれの穐吉さんに対し、特別な思いがあるのだろうと、僕も想像させられる。彼如水さんは何と、88歳で、聴きに来られた最年長者。
「照井さんがほれて書いてる、トシコズ・ドリーム」を読んで興味を持ち「百聞は一見にしかず」として聴いた「あの演奏。」おれはもう「一度で」彼女のとりこになってしまった。そのことを報告に来た。と後日、紫波町から電車で飲みに来てくれたのは、鈴木定男さん83歳であった。皆元気な大先輩達である。