秋吉敏子の世界とその人生<47>2009.12.7.盛岡タイムス

 とある日。パソコンに向かって女房が、ジョニー!これ知ってますか?と、僕を呼んだ。画面を見ると「秋吉敏子の世界」プレミアムCDコレクション・12枚組が発売になっていた。発売元は通販のユーキャン・クラブ。

  即注文し、それは1週間程して送られて来た。CDは彼女のベスト盤的な構成となっていた。これまでにもベスト盤は出ているが、新作を12枚買った気分になっている。いつも、どちらかといえば、アルバムごとに聴いてまた僕にとって、何枚かのアルバムから、何曲かずつ拾い並べられているため、前後曲の関係から、まるで別の曲、別の演奏のように聴こえてきて、新鮮なのだ。

  別冊の曲目解説書の、ほぼ3分の2を使って書かれている「秋吉敏子・その人生」もまた、04年に全音から出版された「孤軍・秋吉敏子」岩崎哲也著の本からの抜枠であるが、これまた、彼女の人生エピソードや履歴のベスト版ともいえ、簡潔で、読みやすく、彼女を知るための立派な資料ともなる。まさにお買得な全集なのだ。

  まえがきには、穐吉さん自身が「私の60年に渡る音楽生活・音楽活動のうち、主要なもの、ほとんど全てが、今回このような形で世に出る事を、大変嬉しく思います。ひとりでも多くの方が、私という音楽家に興味を持っていただければ辛いです。」と寄せている。

  ライフ・ストーリーとミュージック・ノートが一緒に楽しめて、ジャズの勉強にもなるこのCD集、発売日をユーキャンに問い合わせたところ、何と、06年5月との事。僕は今まで全く知りませんでした。赤面の至り。

  06年といえば、僕がプロデュースさせて頂いた、穐吉敏子さんのCD「渡米50周年日本公演」が録音・発売された年である。また、01年8月にオーケストラで初演された「ヒロシマ」の最終章曲「ホープ」を、05年12月12日(穐吉さん77歳の誕生日)にピアノソロで初録した待望の「HOPE」(ソロ&トリオ)が発売になった年。しかもこの時、この全集のためにも「ホープ」を別に録音していたのだ。