美大生のジャズレポート<75>2010.6.21.盛岡タイムス

 多摩美術大学の3年生だという千葉史教君が、今年の正月(10年1月3日)、母裕子さんと二人で、開運橋のジョニーへやってきた。

 話によると、学校で授業中に音楽が聴ける選択科目があって、それを担当している、中村寛さんという美術の先生に出された課題の為に来店したとのこと。課題とは、ジャズ喫茶やジャズスポットといったジャズの現場に出向いて、そこで見聞した事などをレポートにして、提出することなのだという。

 実家のある盛岡のジャズ喫茶を、インターネットで検索したら「開運橋のジョニー」が一番最初に出て来たし、聞けば有名な店らしい。が、来店の動機だった。ちょうど4ヶ月後の5月3日、その時のレポートコピーを、彼の母が、わざわざ届けに来てくれた。

 それによれば「店内には穐吉敏子さんの“ロング・イエロー・ロード”が流れていた。彼女は80才にも関わらず、今なお現役で世界各地を飛び回っている。かつて大学の講義で穐吉さんの映像を見せられたことがあり、着物でピアノを弾く姿が印象的であったが、アメリカで、日本のジャズのパイオニアとして、ジャズの道を歩むという決意が伝わってくる映像だった」と。

 次に流れた「孤軍」では「日本とジャズが合わさった独特な曲。日本人でしか生み出すことが出来ない曲だと感じた」「日本人の心を揺さぶる尺八の音。実はそれはフルートだったという驚き(渡米50周年日本公演のCDを聴き)日本人にしか創れない音楽があるということに気付いた今、ジャズに対する見方が広がった」とある。

 「夜も深まり、馴染みの客が増えて来た頃、盛岡で活躍している細川茂雄さんと金本麻里さんが来て、マスター・照井さんの一声で特別に演奏してくれた。初めて聴くベースとヴォーカルのデュオ。特にも日本語と英語の歌詞が付いている穐吉さん作曲の“ホープ”の歌声が、心と体に響いた。自分と照井さんとの2時間、ジャズについての思いを共有出来たことは、これから音楽を聴くうえでの宝になるだろうと思った」。ありがとう!ね。