和ジャズのディスク本<86>2010.9.6.盛岡タイムス

 75年に開店した僕の店「ジョニー」が穐吉敏子を軸に「日本ジャズ専門店」を宣言したのは77年の早春、もちろん世界唯一初の店。あれから34年目の今、遂にというか、数年前から日本のジャズが「和ジャズ」と称される様になり「昭和アーカイブス」「渋谷ジャズ維新」など、様々な形態で、昔の日本ジャズが発掘され、続々CD化し、この数年は「和ジャズのブーム」である。

 僕が78年よりプロデュースしてきた「ジョニーズ・ディスク」は渋谷ジャズ維新シリーズを手がける、若杉実さんという監修者と、ソリッド・レコード(株・ウルトラヴァイブ)のプロデューサー・前田雅啓さんが尽力しマスターテープを、日本ビクターの保管庫から発掘。

 それを07年にジョニーズ・ディスク復刻・第一弾として「海を見ていたジョニー/坂元輝」寄稿文・五木寛之。を発売したところ大絶賛され、話題が話題を呼び版を重ねており、盛岡駅・フェザンの「さわや書店」でも「さわやか」な売れ筋だ。

 09年8月・(株)リットー・ミュージックから発売された「和ジャズ・ディスク・ガイド」塙耕記・尾川雄介・共著。は「我が国で生まれた至高のジャズ一挙紹介!」として50年代から80年代までの40年間に発売された「和ジャズ」のレコードから約400枚の作品を選りすぐって掲載。巻頭カラーでは、帯付きギャラリーとしてベスト16枚。更に60枚の計76枚が日本独自のレコード文化ともいうべき、中味がわかる様な帯付きの発売時状態の写真(珍しい紹介の仕方)を掲載している。

 この本手にして僕が驚いたのは、何と「海を見ていたジョニー」のジャケットが裏表紙に。本を開くと1ページ目にそのジャケットの帯付き写真(嬉しい!)そこには4作品が紹介されていて、その第一が、そう、穐吉敏子さんの63年の作品「マリアーノ・イン・ウエスト・サイド」しかもこの作品、昔のタクトや現在のコロンビア盤でもない、当時、大坂を本社とする、ニッポンレコードからの初盤ジャケット。これだけでも生ツバゴックン物である。この本では穐吉さんの作品が7作品。僕の作品(プロデュース)は3作品紹介されており光栄です。