穐吉敏子の旅物語<#9>2024.1.1.紫波新聞

今年行くべき盛岡を予言?!

 2023年1月12日、ニューヨークタイムズが発表した今年行くべき世界都市52か所の2番目に、ロンドンに次いでなんと盛岡市が選ばれました。その直後からアメリカを始めとする世界各国、勿論日本各地からも個人や団体での観光客が急増!発表からすでに1年になりましたが、いまだにその追っかけ取材も絶えないものですから、波及効果たるやすごいものです。

 2022年4月、NYの穐吉敏子さんのご自宅に伺い、盛岡バスセンターに設置する「穐吉敏子ジャズミュージアム」に展示するための、彼女の賞状や楯、ステージ衣装等々をお預かりしに行った時彼女は言った!「照井さん、もしかすると、盛岡に観光客が増えて、市から感謝される日が来るかもしれませんよ」まるで予言めいたその言葉どおりに盛岡は今年、史上最高の観光客流入!となった次第。

 そして、僕個人としても2020年「いわて暮らしの文化特別知事表彰」、2023年「ジャズ音楽協会・功労賞」を頂いたのです。

東京赤坂と麻布に「南部坂」、「盛岡町交番」

 その授賞式に上京した11月23日、僕はかつて40年住んだ陸前高田で、「音楽の街」を夢見た20才からの想いが盛岡の開運橋で運が開けたこと、ジョニーのジャズ活動を長年支え続けてくれた友人達や資金援助をして下さった諸先輩の方々の心意気、それを物語る街の歴史に感謝せずにはいられませんでした。

 授賞式の行き帰りに、78回転SPレコード時代の浪曲師・東家楽燕の「南部坂雪の別れ」で歌われた旧南部藩江戸屋敷跡へ続く南部坂を赤坂に訪ねました。その後の移転先、麻布の南部坂を歩き、遂には唯一の名残名称である「盛岡町交番」へとたどり着き、感無量の境地を久しぶりに味わったのです。

 盛岡の開運橋から東京の江戸時代に遡る二つの南部坂へと渡る橋架けてくれた方は、岩手大学の教授だった橋梁工学の宮本裕氏。お陰様でその場所を訪ね歩くことが出来、東京の盛岡町から岩手盛岡市の「穐吉敏子ジャズミュージアム」へと続くもう一つの関係性が僕の頭の中に浮かび上がってきたのでした。

紫波新聞 令和6年1月1日 新第159号(171)より