秋吉敏子の穐(あき)<24>2009.6.29.盛岡タイムス

 最近よく、いろんな方から、アキヨシさんは、いつから「秋吉」ではなく、「穐吉」になったんですかと、聞かれる。穐の字は、普通にアキと読めない人が多いことから、マスコミが「秋」と表示して定着したものであろうと思われるが、アキヨシさん本人は、昔から、サインを頼まれると、必ず「穐吉敏子」と書く。日本でも、外国ででも同じである。

  穐の字は戸籍の字であることから、それこそ、最近は、僕も必ず、穐の字を使い、使ってもらうようにしているところですが、秋よりはるかに、穐の方が、よりインパクトがあり、たとえ読めなかったとしても、かえって印象に残る!という点では、より芸名らしいのではないかと思ったりする。

  この穐の字は、秋の古字で、本来は、穐の字に四つの点(れっか)の部首がついた字が本当のようです。このれっかは「火」を意味しているところから、字の下のれっかが、それこそ火の粉のように上に登り「秋」の字になったのではないかと想像できる。

  よく目にする「秋の火災予防」とは本来、火災予防の穐!が本当かも知れません。なぜなら、歌舞伎の世界では「千秋楽」ではなく「千穐楽」であり、芝居小屋の焼失を嫌って火ではなく、めでたい亀の字の入った字を、使ったというのが、アキラカ(清明)だ!。

  それこそ「秋」は収穫がア(飽)キ満チル意。と広辞苑にあり、これを読んで、ハタと気づいたことがある。穐吉さんの一人娘、マンディ・ミチルさんは、有名な歌手であり母でもあるが、穐吉さんが、昔とある新聞のコラム欄に21世紀への手紙という一文を書いたことがあり、当時確か15歳だったかで、フルートを持った写真の娘へあてた手紙だった。年々満ちて行ってくれるようにと願い名付けた名前だったと記憶するが、月曜日に生まれたことからの、マンディであり、月が満ちて行く時に、ということのほかに、穐(秋)吉が満ちる意も、かけていたのだったんだろうな。ということもこれで知らされた。