いちにい・イチニイ・1・2。12月12日はジャズ・ピアニスト・穐吉敏子さんの誕生日。09年の今年、彼女は、やっと80になった。やっとというのは、2年も前から、来年秋吉さんは80歳になられます。と、コンサート司会者などから言われてきたから…。
その12月12日、紫波の喫茶店「これくしょん」にて「アキヨシ賛歌朗読ライブ」が行われ、何と申し合わせたように12人のお客さん。
このトシコズ・ドリームの45話で紹介した小泉とし夫氏の朗読と解説が行われた。中でも、「木更津甚句」を題材にした「ザ・ビレッジ」という穐吉さんの曲について書いた、「木更津甚句/低いリズムのオスティナート/弾く左手と/コンビする右手」「パワフルな左手は金/耳をうつ/オスティナートの/曲はてしなく」は穐吉さん独特の4分の5拍子による反復(オスティナート)の強力なリズムに乗って、表現される右手のめくるめくような、しかも書かれたような即興が展開される様子をとらえている。
この短歌に歌われた曲を、63年に岩手県公会堂で聴いたという冨田健治さんは、当時すごいショックを受けたという。その演奏を野球にたとえて。昔、巨人軍の川上哲治監督は言っていました「だれでもが捕れる球を、名選手はファイン・プレーとしてみせることがある」と。穐吉さんはあの難曲をいても平然と今年も聴かせてくれた」と、彼女の絶え間のない修練ともいうべき、努力のたまものを語った。
俳句の菊十音さんは「双眸の/深き祷りや/白鳥来」と、穐吉さんの目力にひかれ、双眸(そうぼう)、瞳では表せない目の意志を感じ、それを通りこして、祈りなのではないかと感じさせられ、最初「小鳥来る」だったものを深き祷りとなれば、やはり大鳥と、「白鳥来」にしたという。
会場の「これくしょん」ではこの12月いっぱい、それらの詩歌を左手で書いた「書」を展示しています。それにしても忘れないようにと「12月12日」とした僕たちの結婚記念日。すっかり忘れてて、女房の小春にしかられた。