日本ジャズ祭<60>2010.3.8.盛岡タイムス

 21グループ、延々11時間に及ぶ、日本ジャズ史上初の「日本ジャズ祭」といわれた85年8月4日(日)の「日本ジャズ祭・in・陸前高田」。この日の演奏は、同年10月に本放送を開始する「FM岩手」の試験放送として、一週間に渡って、全プログラムが放送になった。

 その4年後の89年7月28日(金)、2回目の「プレミアム・クオリティ・日本ジャズ祭」を、ゴルフ練習場で開催した。その時のテーマは、女だけのジャズ祭。出演した8グループのリーダーが全て女性というセッテイ。

 末成町子・パフォーマンス。澤京子・デュオ。沢田奈津美・ヴォイスフラッシュ。吉田啓子・北川里美・レアシルク。早坂沙知・フリーファイト。赤木リエ・アコースティック・クラブ。大給桜子・トリオ+上野尊子。穐吉敏子・ジャズオーケストラ。という布陣。

 当時、穐吉敏子さんの夫・ルー・タバキン(サックス)とも共演経験を持ち、ジャズの伝統にのっとった演奏で、内燃型の№1・ジャズピアニストと言われた、故・大給桜子は出演に際し「地方のビッグ・イベントは、ジャズメンの知名度が低いため、有名人が名を連ねます。だけど、陸前高田の日本ジャズ祭は、どこでも出来ないメンバーリングで、バラエティに富み、聴く人は絶対満足してくれると思う。私達も一生懸命演ります」と新聞にコメントした。

 週刊新潮は巻頭グラビアに小島啓祐氏撮影のジャズ祭写真を掲載。ジャズワールド紙では「涙が出る程感動的なメロディ。ジャズ楽器の技巧の究極を表現する高度な演奏内容。そして何よりもジャズへの崇高な情熱をほとばせての穐吉の指揮ぶりに、老人達も感に耐えぬ面持ちで聴き入ってた」と同紙内田編集長が報じた。

 更には「それにしても東北の片田舎。ジャズ喫茶店の営業が成立するとも思えない街で、いわゆる人気アーチストと対極にある実力派を揃えてのビック・イベント。それにそそぐ情熱にも感嘆するのみだ」と。確かに同年夏に全国で行われた冠付のジャズ・フェスティバルは、ほとんどが有名外タレ・ミュージシャンのオンパレードでした。