スモールズ・ジャズクラブ<68>2010.5.3.盛岡タイムス

 ニューヨークのジャズクラブへ行けば、たいがいの店に置いてある[HOT HOUSE]という白黒刷りの小冊子がある。1982年の創刊で、ニューヨーク・ジャズ・バイブルと呼ばれるジャズのガイドブックだ。

 この本の’10年3月号28ページにある、スモールズ・ジャズ・クラブのスケジュール・25日(木)の欄に、7:30PM~Spike.Wilner.Solo piano/9:00PM~THE.Toshiko.Akiyoshi.Trio

/12:30AM~THE.Dwayne.Clemons.Quintetの名前がある。

 つまりこの日は3つのバンドが入れ替わって、夜の7:30~午前2時までの演奏だ。このスモールズは新人の登竜門的な店として知られ、日本のジャズ誌はもちろんだが、NHKのTVなどでも取り上げている程、名の知られたニューヨーク・ジャズ・クラブの名店で、僕もニューヨークへ行けば必ず行く店。

 3月29日の深夜、穐吉敏子さん宅でのホーム・パーティが終わって皆ホテルへ戻ってから、僕は、今回の旅に東京から参加してくれた、溝田博史さん(元・農業富民誌・編集長)と連れたって、4日前に穐吉さんが、ケネディセンター・ジャズクラブへの出演のための、リハーサルを兼ねて演奏した、その、スモールズを尋ねてみた。

 名前の通り小さなクラブ(僕の店・開運橋のジョニーと同じ位の広さかな)で、カウンターと、ステージに向いた椅子が置いてあるだけの、いわゆるライブハウス的なクラブ。出演してたのは、THE.Ari.Hoenig(ds)のグループ。演奏真剣・聴衆真剣」・クラブは立ち席までビッシリ、美しいウェイトレスが、客の間を縫うようにして、飲み物を運んでくる。釣り銭もステック・シュガーみたいな棒状で返すカッコよさ。

 ビックネーム・穐吉敏子がPaul Gill(b)と黒人ドラマー・Ulysses Owensを加えたトリオのスモールズでの演奏は、ケネディセンターで聴いた音と重ね合わせ、勝手な想像ライブを、一人頭の中で楽しんだ。